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【会員限定介護タクシー(特定旅客自動車運送)とは】
訪問介護事業または居宅介護事業の指定を受けた事業者にだけ認められた運送許可で、当該事業者と契約した者(会員)であり、かつ、介護保険報酬または支援費等の対象と認められた者だけを、送迎することができます。具体的には以下のとおりです。
なお、対象者が限定されますので、法令試験も無く比較的取得しやすい許可になります。
- 訪問介護または居宅介護サービス事業者と運送需要者(複数の要介護者)との間で、介護サービスの利用に関する契約が締結されていること
- 上記契約の内容を証する書面が作成されていること
- 運送需要者たる要介護者は要介護認定等を受け、特定の市町村から介護報酬あるいは支援費等の支払を受け得る資格を有すること
- 会員制により運送需要者(複数の要介護者)が特定されている場合であって、介護サービス事業者の作成する会員リストなどにより、申請者が個々の運送需要者を明確に把握していると認められること
会員限定・介護タクシー 許可までの流れ
会員限定介護タクシーの許可申請手続きは、概ね以下の様な流れとなります。
介護タクシー許可申請の要件
会員限定介護タクシーの許可を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
「資金計画」
「使用する事業用自動車(仕様等)」
- 事業者(申請者)が使用権原を有するものであること。
※軽自動車から大型バスまで、車種(乗員数)に限定はありません。
- 車両台数は1台から可能です。
- 一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)のような、介護福祉士等の同乗義務は要件ではありません。
「営業区域」
- 都道府県を単位とします。ただし、都道府県の境界に接する市区町村に営業所を設置する場合にあっては、一定の場合で運輸局長が適当と認めたときは、隣接市区町村を含む区域を営業区域とすることができます。
【営業区域とは‥】
運送事業許可は営業所を設置した営業区域内でのみ有効であり、許可事業者は原則として営業区域内を発地又は着地としなければなりまん。例えば営業所が大阪府内の場合、大阪府内を出発地とし兵庫県を到着地とすることはOKですが、兵庫県を出発地とし京都府を到着地とすることはできません。
「営業所」
- 配置する事業用自動車に係る運行管理及び利用者への営業上の対応を行う事務所であって次の各事項に適合するものであること。
- 土地・建物について、1年以上の使用権原を有すること。
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
- 事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。
【1年以上の使用権原とは】
- 使用権原とは、所有権または有効な賃貸借契約による賃借権等のことを言います。
- 1年以上とは過去1年ではなく、これから1年以上確実に使用できることを言います。賃貸借契約では、契約期間が1年以上あればOKです。
「車 庫」
- 原則として営業所に併設するものであること。併設できない場合は、営業所から直線で2km以内の営業区域内にあって、運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。
- 車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保されており、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること
※民間の駐車場で50cm以上を確保できない場合、2マス以上用意する必要があります
- 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること
- 申請者が土地、建物について1年以上の使用権原を有するものであること
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること
- 事業用自動車の点検、整備及び清掃のための施設が設けられていること
- 事業用自動車の出入りに支障のない構造であり、前面道路が車両制限令に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、当該私道に接続する公道が車両制限令に抵触しないものであること。
「休憩・仮眠または睡眠のための施設」
- 原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。営業所に併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2kmの範囲内にあること。
- 事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。
なお、夜間運行が無いなど、睡眠等が必要でなければ、仮眠または睡眠のための施設は必要ありません。 - 申請者が土地、建物について1年以上の使用権原を有するものであること。
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
「運転者」
- 事業計画を遂行するに足る員数の有資格(普通2種免許)の運転者を常時選任する計画があること。
- 適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提としたものであって、労働関係法令の規定に抵触するものでないこと。
- 運転者は、運輸規則36条1項各号に該当する者でないこと
- 日々雇い入れられる者
- 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
- 試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く)
- 14日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者
「運行管理体制」
- 法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること
- 営業所毎に、配置する事業用自動車の数により義務づけられる常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する管理計画があること。 ※1
【ex.】 車両 運行管理者
1 〜39台 1名以上
40〜79台 2名以上 - 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること
- 車庫を営業所に併設できない場合は、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制が整備されるとともに、点呼などが確実に実施される体制が確立されていること。
- 事故防止などについての教育及び指導体制を整え、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告などの責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制について明確に整備されていること。
- 上記全ての事項などを明記した運行管理規程などが定められていること。
- 原則として常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること 。※1
※1 事業用自動車(乗員11人未満)が5両未満の場合は、有資格者でなくて構いません
乗員11人以上の車両の場合は、1両から有資格者の選任が必要となります。
→ 運行管理者・整備管理者とは
「法令遵守」
- 許可を受けようとする者が1年以上の懲役または禁固刑に処せられ、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者でないこと。
- 申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員等が次の1から8のすべてに該当する等法令遵守の点で問題のないこと。
- 道路運送法、貨物自動車運送事業法及びタクシー業務適正化特別措置法等の違反により申請日前3ヶ月間及び申請日以降に50日車以下の輸送施設の使用停止処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む)ではないこと。
- 道路運送法、貨物自動車運送事業法及びタクシー業務適正化特別措置法等の違反により申請日前6ヶ月間及び申請日以降に50日車を超え190日車以下の輸送施設の使用停止処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む)ではないこと。
- 道路運送法、貨物自動車運送事業法及びタクシー業務適正化特別措置法等の違反により申請日前1年間及び申請日以降に190日車を超える輸送施設の使用停止処分以上又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む)ではないこと。
- 道路運送法、貨物自動車運送事業法及びタクシー業務適正化特別措置法等の違反により、輸送の安全の確保、公衆の利便を阻害する行為の禁止、公共の福祉を阻害している事実等に対し改善命令を受けた場合にあっては、申請日前に当該命令された事項が改善されていること
- 申請日前1年間及び申請日以降に自らの責に帰する重大事故を発生させていないこと。
- 申請日前1年間及び申請日以降に特に悪質と認められる道路交通法の違反(酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、薬物等使用運転、無免許運転、無車検(無保険)運行及び救護義務違反(ひき逃げ)等)がないこと。
- 旅客自動車運送事業等報告規則及び自動車事故報告規則に基づく各種報告書の提出を適切に行っていること。
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の違反により申請日前2年間及び申請日以降に営業の停止命令、認定の取消しまたは営業の廃止命令の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む)ではないこと。
「損害賠償能力」
- 旅客自動車運送事業者が、事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するために講じておくべき基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること。
※ 具体的には、任意保険の対人賠償が(1名につき)8000万円以上、対物200万円以上、対物免責30万円以下
「その他」 運賃届出
- 特定旅客自動車運送事業における介護タクシーの旅客は、施設利用者であって介護保険報酬の支払を受け得る資格を有する者となるので、一般乗用旅客自動車運送事業の認可運賃の適用を受けません。よって運賃は自由に設定し届出ることになります。
- 認可運賃の適用はありませんので、認可運賃に基づく料金メーターは設置しなくてもよくなります。
- 距離制運賃を収受する場合はトリップメーターを利用することが多いようです。
介護タクシー許可 利用運送許可 運送業許可 霊柩車運送許可 有償旅客運送許可 運送許可 第一種貨物利用・第二種貨物利用運送